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車の試乗をしてみた

JR桂駅から徒歩10分弱、私たち夫婦はカーディーラーに来ていた。

「そろそろ、車欲しいな」と思っていた矢先、妻のお義父さんがオススメの車を紹介してくれた。

SUZUKIのジムニーシエラ

ジムニー シエラ 価格・グレード|スズキ
SUZUKI ジムニーシエラ

雪道や河原も走れる4駆で、過酷な道にも対応している。
無骨なデザインは多くのジムニーファンを魅了する、唯一無二の車である。

ジムニーシエラが近くのディーラーに無かったため、
京都 桂のスズキ店舗で試乗予約して、来たというわけだ。

 

人生で何度もディーラーの前は素通りしてきたが、初めて店内に足を踏み入れるということで、緊張する。

10時のオープン5分ほど前に到着したが、店内の担当者が迎え入れてくれた。

通された商談ブースでアイスコーヒーを飲んでいると、40代前半の男性が挨拶に来た。

「本日はご予約ありがとうございます。」

渡された名刺には“店長代理”の肩書きが光っている。

若造夫婦の客には、新入社員の営業があてがわれるのではないかと、事前に予想していた私たちは少し面食らった。

「試乗ということですが、早速行きますか?」
店長代理は、座っている椅子の腰を浮かせて、今にも立ちそうな勢いだ。

「いえ、もう少し待ってもらえますか…もう1人来るので…」
妻は、そう応えた。

「それでは…」とカタログベースでジムニーシエラの紹介をしてくれた。
ただ、事前に下調べはしていたので、目新しい情報はあまり無かった。

5分ほど説明を聞いたくらいで、店の入口が開いた。

 

お義父さんだ。

 

車好きのお義父さんは、この日にジムニーシエラの試乗の予約が出来たと伝えると、お店まで来たのだった。
実家も近かったので、来やすかったのだだろう。

半袖短パンのラフな格好で、Tシャツには「WE LOVE EARTH」という意味不明な文がプリントされている。

店長代理が名刺を交換しようとしたが、私は結構です…と断って私たちの席に着いた。

5分ほど雑談をしていたが、「車は発売前に予約して購入している」というお義父さんの車好きエピソードを披露して、担当者を牽制することが出来た。

“クルマ知識のないカモ客ではない。私たちには、WE LOVE EARTHがいるのだよ…!”

試乗の為店を出ると、入口近くに車がスタンバイされていた。

これがジムニーシエラか…!

ネットで見たまんまの男らしさを備えている。
ボディーの色は、キネティックイエローとブラックのツートンだ。
無骨な中に、可愛さも兼ね備えている。

「では、お乗り下さい…」
2ドアのため、助手席側のドアを開け、席を下げる。

運転する私の真後ろに、お義父さんが座った。

 

もちろん、覚悟はしていた。

「お義父さんが試乗に来る」と解った時点で、私の運転する試乗車にお義父さんも乗る事は容易に想像が着いていた。

しかし、その時を目前にした私は、急に不安が襲ってくる。

この瞬発的緊張感は、
初めて妻の両親に挨拶に行ったあの日とは、異質のモノだった。

 

運転席に乗り込むと、教習所で教えられた「エンジンをかけるまでの手順」を頭の中で反芻する…

 

その後の記憶はあまり覚えていない。
なんなら、緊張のあまり気を失っていた可能性もある。

 

気がつくと、お店の前まで戻っていた。

点検に出されていた他のジムニーシエラ、販売されていたジムニーを見ながら、店長代理の話を聞き、商談ブースまで戻った。

「それではお見積も作成してきますね…」
そう言うと、店長代理はお店の奥に消えていく。

お義父さんは試乗に満足していた。
一昔前のジムニーは、後部座席に乗れたもんでは無かったらしいが、今どきのジムニーは乗り心地も重視しているようだ。

“…よし、このままお義父さんテンションが高いうちに、どさくさに紛れて車を買ってもらおう…”

意識がハッキリしてきた私は、今の状況から最適解を瞬時に導き出していた。

 

「じゃ、先に帰るわ!」

満足したお義父さんは足早に帰ってしまった。

“くそぅ…!!!”

 

その後、店長代理とお見積を見ながら、あれやこれやと説明をうける。
ジムニーシエラは人気のため、納車は1年後と説明された。

「一旦、購入の列に並ぶ事が、ジムニーシエラを早く手に入れる方法ですよ…」

店長代理は、早く購入を決めるように、言い回しを変えて何度もアプローチしてきたが、
「今日は試乗のみ」と決めていた私は、電池の切れかかったライトのように、細切れに頷いた。

最後に店長からも挨拶を受けたあと、お店を後にした。

 

結婚式に続いて高額な提案を受けたが、
結婚式のように「今日決めてくれたら〇万円値引きます!」のような拙速な値引きは無かった。

売るものが変われば、商談中の駆け引きも変わってくるのだろう。
もしくは、“店長代理”というある程度経験を積んだ担当だったからかもしれない。

もう少し、車の営業を受けてみて、色々と比較検討しなければ…

 

“それよか、お義父さんはあんなプリントTシャツを着るんだな…なんか意外やな”

颯爽とお店に入ってきたWE LOVE EARTHを思い出し、ニヤニヤする。

ふと、私が着ているTシャツに目を移すと、
「バンコクデンジャラス」という意味不明な文がプリントされていた。

参考
SUZUKI ジムニーシエラ
https://www.suzuki.co.jp/car/jimny_sierra/

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